クラーベの秘密
ところで、この 6/8 のクラーベにはいろんな面白い性質があります。 そのひとつをご紹介しましょう。 まず、12のパルスに名前をつけます。 クラーベの音が鳴る場所を C, D, F, G, A としてみましょう。

ピアノの鍵盤は1オクターヴが白黒合わせて12鍵ありますね。 それに習って最初の位置(3サイドのひとつ目)を C とします。 ひとつ休みがあって次の位置を D 、ふたつ空いて F 。 その後はひとつ飛ばしで G と A 。 こうしてみると実はルンバクラーベの音が鳴る位置は、 F ペンタトニックスケール(ファの音からはじまるヨナ抜き音階) の音の位置とぴったり一致するのです。
また、このとき F の位置から始まるパタンは 6/8 のソンクラーベと符合することもすぐに分かりますね。 このように、ルンバクラーベを「転回」してソンクラーベを作るとき、 それをペンタトニックスケールの C から F への「移調」として理解できるという現象に、 リディアン・クロマティック・コンセプト(ジョージ・ラッセル) との関係を直観する人もいるかもしれません。
こうしたクラーベとペンタトニックの関係を面白いと思う人もいるでしょうし、 結局、音階もポリリズムも2対3の数学的操作の帰結ですから、 驚くにはあたらないと感じる人もいると思います。 ともあれアフリカ音楽の最も肝腎のリズム構造が、 西洋風の音階理論と不思議なところで接点を持つのだ、 という事実は世界音楽の繋がりを考える上でも面白いヒントになるかもしれません。
リズムを鍛えて踊ろう
5日に渡って「ポリリズムことば」を使ったリズム練習と、 クラーベ感のトレーニングについて紹介してきました。 こういう少し遊びの要素を取り入れながら楽しんで アフロ=カリビアンの音楽を学ぶのがオススメです。
慣れてくればきっとそのリズム感がダンスにも活きてきますよ。
明日は新しいテーマです!