Merengue Panic



Advent Calendar 2023 初日の記事

ダンスフロアの7つ道具(1)

身軽な格好でふらっと行けるのがクラブパートナダンスの魅力のひとつ。 それでもこれだけは外せないというアイテムもいくつかあります。 今回はダンスフロアでの持ち物について考えてみます。 4回シリーズの1話目!

サルサは身軽な活動

サルサを踊るのにほとんど揃えるべき道具はありません。 初心者さんは普段の格好そのままで来てもらって全く問題ありません。 長く踊っている人でも普段着や会社帰りの格好そのままで踊りに来る人はたくさんいます。

これはあまり強調されていませんが重要なことです。 つまりお財布にやさしい趣味であるということ。 例えばマリンスポーツやゴルフや登山などは一通り道具を揃えるだけでも大変ですし、 ダンスでも、ほとんどの独り踊りのダンスはそうですが、 パフォーマンスがゴールとなるようなタイプのジャンルだと、 衣裳や練習場所の確保などでそれなりに出費がかさみます。 その点、ソーシャルダンスとしてのクラブ活動には極端にいえば何も揃える必要がありません。 もちろん、レッスン代とか飲み物代くらいはかかりますが、 どちらもそれ自体が楽しみでもある付加的な要素ですし、 普通、リーズナブルな価格設定です。 純粋な出費はクラブの入場料くらいでしょうか。

それでもある程度踊り慣れてくるとダンス用として準備する道具がいくつか出てきます。

衣裳はなんでも好きなモノを

ダンスにはまるとワードローブがほとんどダンス用になってしまう、 というのはダンスフリークの傾向ですが、クラブダンスはどんな格好でも踊れます。 つまり機能的な観点でいえば、 普通に外に出て歩ける格好ならだいたい踊れるといっていいでしょう。 とはいえ、それでも機能的な向き不向きを考えることはでき、 よりダンスに適した服装というのもあるにはあります。

dance costume
dance costume / from wikimedia.org

見た目やファッション性の点でいえば、自分が似合うと思うモノ、 好きなモノを着ればよい、それだけです。 クラブやスタジオでのパーティには普通ドレスコードはありませんので、 どんな格好でも構いません。

ときおり、大きなパーティやコングレスなどではドレスコードが指定される場合もありますが、 これはいわゆるホワイトタイとかブラックタイというような意味の、 ゲストの階級やクラスタを限定するためのものではありません。 よくあるのは紅白ナイト、つまり衣裳に白と赤を入れましょうとか、 ホワイトナイト、真っ白な格好で統一しましょうみたいなものです。 あるいはガラ、派手で祝祭的な格好にしましょうとか、 シャインナイト、光りモノを服に入れましょうのようなもの。

つまり、ここでのドレスコードとは、 階級コードでも正装規定のことでもなく、 色遣いやスタイルに関するパーティのテーマ設定であり、 普通、守らなかったからといって入場拒否されることはありません。 むしろ、与えられたお題の中でどれだけ個性を発揮して楽しむかが問われます。 ですからダンスフロアでは好きな格好で踊ることができます。

一方で、踊り易いかどうかという観点での機能的な格好というのはある程度あります。

男女ともに一番大事なのは動きやすいということ。 次に大事なのは自分でジャブジャブ洗濯できるということ。 機能性をいう場合はこの2点が肝腎です。

まず、動きやすさについて。 クラブでのソーシャルダンスではそれほどの強度の動きというのはありません。 脚を上げるとか、深くしゃがみ込むというのはあまりないですから、 ボトムスはズボンでもスカートでも構わないと思います。 トップスは腕が上げ下げしやすければ何でもいいと思います。

フォローの場合、すべり過ぎる素材だとリードが腰や背中を触ったときに 上手くコネクションが作れない場合があるので避けた方が無難です。 また、腕の下が大きくたるんだ服はフレームが組みにくくなるので これもあまりオススメしません。

また、リードはジャケットを着る人も多いですが、 腕を上げるときに肩が詰まってしまい、ジャケットごと持ち上がってしまう場合があります。 これはジャケットの前ボタンを外しておくとか、 肩パットのないジャケットを選択するなどの方法で回避できます。

さて、日常的に踊る人にとってもっと大事なのは洗濯が簡単にできること。 ダンスですからそれなりに汗はかきますし、 衛生的にしておくことはダンス相手のためにも必要ですが、 おしゃれ着はどうしても洗濯が難しくなりがち。

ときどきウールのジャケットで踊っているソーシャルダンサがいますが、 本当に頭が下がります。 確かに格好いいし素敵だとは思いますが、 ワンシーズンに何度も洗えないし洗うとなるとドライクリーニングに出さねばならぬ、 というタイプの服を毎週着るのは並大抵の努力ではできません。

ちなみに、ニューヨークの伝説的マンボクラブであるパラディウムでは、 ほとんどの男性はちゃんとスーツを着て踊っていました。 労働者階級の多いヒスパニックや黒人なので、 もちろんたくさんのスーツを持っていたはずはありませんが、 彼らは毎日丁寧にブラッシングしてできるだけ綺麗な状態で着たといいます。 金やモノはなくとも手入れだけはしっかり行う、これがハーレムの矜持だったのです。 この点は後ほど靴のテーマでももう一度取り上げましょう。

明日に続きます!

posted at: 2023-12-01 (Fri) 12:00 +0900