泡っぽい初心者ガイド
まったくパートナダンスに触れたことがなかったり、 ラテン文化に触れたことがない人にとって、 初めてのラテンダンスのレッスンに出掛けてみることはちょっぴり勇気がいるかもしれません。 でも心配するほどのことはありませんよ。 案ずるより生むが易し、とりあえずレッスンやパーティに足を運んでみてください。 それでも不安な人は、 以下のノートで少しだけ心の準備をしてみてください。
なお、より広く音楽・ダンス・文化・歴史の各方面から メレンゲについて知りたいという人はぜひ 『メレンゲ入門』をご覧下さい。

目次
よくある質問とその回答です。
- まったくダンスの経験がないのですが
- レッスンをうけないと踊れるようにならないですか
- どのスタイルがいいでしょうか
- 誰にレッスンをうけたらいいでしょうか
- ひとりで行っても大丈夫?
- お酒が飲めないんですが
- シャイなんですが
- どんな格好で行けばいいでしょうか?
- ラテン音楽がよく分からないのですが
- どれくらいで踊れるようになりますか
- いつソーシャルデビューできますか
まったくダンスの経験がないのですが
心配ありません。 サルサなどのラテンクラブダンスを初める人はほとんどは、 ダンス未経験からスタートします。
しかも30歳を過ぎてから始める人も多く、年齢・経験などはほとんど関係ありません。 運動経験も問われません。 というのもパートナダンスの基本は「リズムに合わせて歩くこと」だからです。 ラテンクラブダンスも例外ではなく、立って歩ける人なら踊れるようになるダンスです。 普通にパーティなどで楽しむために踊る場合には、 筋力や体格や柔軟性などはほとんど問題になりません。
レッスンをうけないと踊れるようにならないですか
そもそも歌や踊りはどこの文化でもとても古い遊びで、 他の人のやっているのを真似しながらだんだんできるようになるものです。
ストリートダンスやクラブダンスもその精神を引き継いでおり、 世界中の様々なクラブダンスシーンで、 レッスンを受けることなく楽しく踊っている人が沢山います。
ただ、メレンゲやサルサはパートナダンス、 つまりふたりの人がフォローとリードという役割をそれぞれ担当して 成立するモダンなダンスです。 ひとりで踊るダンスは心の命ずるままに好きに踊ってもそんなに困ったことは起こりませんから、 自由にやってもらったらいいのですが、 相手がいるダンスの場合はあまりに出鱈目に踊ると相手や周りの人を怪我させてしまったり、 不愉快にさせてしまうことがあります。 お互いにパートナを楽しませ合うダンスですから、 独り善がりに自分だけが楽しむのでは駄目なのがパートナダンスなんですね。 つまり、 レッスンを受けるのは自分のためではなく、 自分と踊ってくれる相手に楽しんでもらうため、 というのが最初の直接の動機になります。 もちろん、相手が楽しんでくれれば自分も嬉しいですから、 結局は自分のためにもなるんですね。 もっといえば、一人びとりの技術水準が向上することは、 ひいてはコミュニティ全体への貢献でもあります。 いわば、パートナダンスの技術や文化は個人に属するというよりもコモンズなのです。
パートナダンスはフォロー役とリード役に分かれて踊りますが、 これは非常によくできた合理的な仕組みです。 とりわけ1997年以降に世界的に流通したサルサは高度にスタイル化されたダンスなので、 前提としてお互いに期待する基礎がある程度存在しています。 これは見よう見まねだけではどうにもなりません。 知らない人にはその存在も認識できないが、 知ってしまうとそれなしには踊れなくなるような特別の感覚「コネクション」があります。 このため、ただ酔っぱらった勢いで異性と手を繋いで無邪気に飛び跳ねていれば楽しい、 という状況はほとんどのフロアではそれほど持続できません。 踊ること自体を相手に楽しんでもらおうと思うなら、 よいコネクションを身に付けることが必須です。 ある程度の水準の技術は最低限のマナーといえるケースもあるので、 基礎を教わってから踊ることをオススメします。
一方、メレンゲというダンスはそもそもレッスンで教えられることがほとんどないダンスです。 サルサのレッスンのついでに軽く紹介される程度のことが多く、 その分自由でスタイルらしいスタイルがありません。 より土着的で大衆的なダンスです。 ですからメレンゲはラテンのパートナダンスの中では最もとっつき易いダンスです。 それでもいきなり知らない人を掴まえて踊ってみる前に、 基礎(ベーシックステップとコネクション)の考え方だけでも学んでおくと、 少なくとも不快感を与える確率が下がり、 相手の表情も明るくなりますよ。
ちなみに、パートナダンスの仕組みを理解していない初心者さんに対して、 そのまま自由に感じたまま踊ればいいんですよ、 とアドヴァイスするヴェテランやインストラクタもときどきいます。 もちろん、敷居を下げたい、 たくさんの初心者さんを歓迎したいという気持ちからのものだとは想像しますが、 今後パートナダンスの奥深さや豊かさを味わえるようになっていくのに必要なプロセスを スキップさせてしまうことは、 より深くパートナダンスの楽しさを経験する可能性を奪ってしまうことにもなりかねません。
一度不自然な体重移動のまま踊ることに慣れてしまった人や、 無自覚に強引なリードをする人、 カタチで先読みフォローする癖がついた人は、 数年後に気付いて改善しようと思っても後の祭りというケースもあります。 というのもこれを修正するには、悪い癖を一度アンラーン(忘却学習)しなければならず、 その上で再び学習し直すことになり、 これはゼロから学ぶ場合よりもはるかに難しいのです。 このため、最初に悪い癖のまま踊り続けてしまった人は、 それから何年踊ってもダンス技術は万年初心者のまま、となる恐れがあります。 曲がった釘を直すのは大変です。 最初からまっすぐ打てるならそれに越したことはありません。
ダンスはテクニックがなくても充分楽しいのですが、 基礎がある程度身に付くと全く違う次元で心躍るダンスになるのがパートナダンスです。 こうした技術というのは、 多くの先人たちが長い時間をかけて どうやったらふたりが楽しく気持ちよく踊れるかを追求してきた 創意工夫と探究の結晶です。 そういう意味でこれは習わないと独力では到達できません。
フォロー(伝統的には女性の役)にとっても上達のためにレッスンは重要ですが、 とりわけリード(伝統的には男性の役) をする人の場合はレッスンを受けないで上手くなった人はいません。
ひとりで踏むステップは筋のいい人なら見よう見まねだけで覚えることができます。 しかし、コネクションはコネクションの分かる人に見てもらわないと実感できません。 というのも、 パートナワークは2者の協力で作るものなので、 分からない人と知らない人が一生懸命練習しても リードが悪いのかフォローが悪いのかを判断できないからです。 相手のスタイルや技量によって大きく印象が変化します。 自分だけが頑張っても成立しないし相手が上級者だからと丸投げすることもできません。 目にも見えないし、ヴィデオに撮っても映らない。 相手からのフィードバックも人によってばらばら、 何が正解か分からなくなりやすいのです。
もちろん、 別に超絶技巧を披露できるようになる必要はまったくありませんが、 誰とでも楽しく踊れるようになるためだけでも、 実はかなり奥深い技術的な課題があります。 もちろんパートナワークの技術だけあっても駄目なのがパートナダンスですが、 それはまた別の話で最低限のパートナワークが出来なければスタートラインに着けません。
最初は少し窮屈に思うかもしれませんが、 出来なかったことが出来るようになる楽しみもありますし、 上手くなればなるほど相手に喜ばれるのがはっきり分かるダンスですので、 練習自体を好きになる方がより深く楽しめるようになります。
どのスタイルがいいでしょうか
サルサにはいくつかのスタイルがあります。 大きく「クロスバディスタイル」と呼ばれる北米のスタイルと、 「キューバンスタイル」と呼ばれるキューバのスタイルがあります。 さらに「クロスバディスタイル」は基本ステップの足型とタイミングの違いで 「on1(オンワン)」と「on2(オントゥー)」と呼ばれるスタイルに分かれます。 この3種類がメジャーですが、 これ以外にも「プエルトリカンスタイル」や「カリスタイル」、 「中南米スタイル」などいくつもスタイルがあり、 それぞれのサブカテゴリは無数にあります。 (詳しく知りたい方は 『サルサスタイル考』 の記事をご覧ください。)
もちろん、同じスタイル同士だと踊りやすいですが、 少し上手くなってくると他のスタイルの人とも合わせて踊ることが出来るようにもなってきます。 どれでもよいのでまずはひとつのスタイルを選び、 きちんとコネクションを教えることのできるインストラクタについて、 初心・初級レヴェルの水準をしっかり学んでおくと 他のスタイルとの違いを身に付けることも比較的容易になると思います。
どのスタイルもそれぞれ特徴があるのでどれか好きなものから始めればよいと思いますが、 初心者さんにはその違いを理解することも難しいというのが実情でしょう。 あえてオススメするならやはり on1 スタイルです。
おそらく基礎を学ぶには on1 がベスト、 というのも世界中で一番普及しているスタイルだからです。 もちろん、それなりの数の説得力ある異論もあり、 on2 至上主義とかキューバン命、みたいな人もいます。 ともあれ、ある程度このダンスの全体像が分かってきて、 他のスタイルの方に魅力を感じるならそちらに移ればよいだけです。
on1 からならキューバンにも on2 にも移行しやすいので、 混乱しにくいのもポイントです。 最初から理想の場所に行こうとするよりも、 そこに通じる道で第一歩を踏み出すことが大切です。
いずれにしても出来るだけ多くの人と踊りたいと考える人は、 自分のメインのスタイルを中心としながらも 他のスタイルもトライするようになっていくものなので、 最終的にはいろんなスタイルが自分の中で混ざり、 自分自身のスタイルというのが出来てくる、というプロセスを辿るようです。
ちなみに、全く初めての人によくある勘違いですが、 ボールルームダンス(社交ダンス) のスタジオで教えられる「サルサ」や「マンボ」という名前のダンスは ここでいうサルサとは異なります。 歴史的に全く無関係とまではいえないのですが、 実質的にほとんど別モノと考えて構いません。 ボールルームダンスはサルサと比べてスタジオの数も人口もはるかに多く、 一般的な傾向としてサルサスクールよりもきちんと運営していらっしゃいます。 そのため、ウェブなどで探すとより目に付きやすいのですが、 アメフトとラグビーくらい違いますので間違わないようにして下さい。
誰にレッスンをうけたらいいでしょうか
初心のレッスンを受けるときに一番大事なのはどのインストラクタを選ぶか、 という点です。 変なインストラクタのところで5年習うくらいなら、 優れたインストラクタを3年かけて探し、 そこで1年習う方が遥かによいダンサになります。 もっと酷い場合、パートナワークの仕組みを教えてくれないところで始めてしまうと、 パートナダンスの奥深さや豊かさを経験すること自体が不可能になってしまうかもしれません。 せっかくパートナダンスに興味を持ったのにこんなに残念なことはありません。
インストラクタ選びの第一歩はやはり実際にそのレッスンを受けてみること。 人柄やクラスの雰囲気が合うかとか、 技術や指導力が自分の望む水準かなどを確認してみることですね。 ただ、 経験のない人にダンスや教え方の良し悪しそのものを吟味せよというのも酷な話です。
つまり、パートナダンスのレッスンも中古車ディーラや医者や呉服屋などと同様、 あちら側とこちら側の知識や経験の差が極端に大きい「レモン市場」なんですね。 素人の素朴な質問をはぐらかしたり、 強引な勧誘をするところに飛び込むと痛い目を見ます。 これらの業界においては、 知識を持たない初心者さんに対する丁寧な説明と フェアな合意形成のプロセスが大切です。
例えば以下に挙げる能力はどれも一般的に優れたインストラクタの資質ですが、 各アイテムはほとんど互いに独立した能力です。
- ソロダンス(シャイン)を教えることに長けている
- ソーシャルダンス用のパートナワークを教えることに長けている
- パフォーマンスやコンペの指導が上手い
- インストラクタ自身が優秀なパフォーマである
- インストラクタ自身が優秀なソーシャルダンサである
- クラスが明るく楽しい
- チームのマネジメントやクラスの運営がしっかりしている
有名だからよいインストラクタということはありません。 無名だから駄目だということもありません。 人気者だし感じはいいんだけど生徒は上達しないという人もいます。 ウェブサイトや SNS などで丁寧な情報発信をしていることは そのインストラクタの事務能力の高さを示すかもしれませんが、 レッスンのクオリティとは無関係です。 パフォーマとして評価されている人がソーシャルダンス (自由にパーティで踊ること)にも長けているとは限りませんし、 ソロダンスは得意だけどパートナワークは駄目という人もいます。 生徒が多いことは経験値を持っているということを意味しますが、 彼ら彼女らがそこで上手になっているかどうかは分かりません。 自身がダンサとして優れているからといって、 上手に教えられるとは限りませんし、 ダンサとしては超一流でなくとも指導者としては優秀という人もいます。
もちろん、サルサやメレンゲはクラブダンスであり、 ボールルームダンスやバレエのような 公式の教科書やメソッドなどというものは存在しない世界ですので、 スタイルによっては上手な先輩や友達に教えてもらう、ということでも構いませんし、 実際、レッスンといってもそんな雰囲気のところも多いものです。 ソーシャルの人気者に個人的にお願いして習った、という人もいます。 ともかく、インストラクタであれ、友人であれ、 パートナダンスの基本をちゃんと理解して伝えられる人に習うというのが肝腎です。 とりわけコネクションのよしあしを客観的に判断できる能力はインストラクタに必須の能力です。
そこで、本サイトの観点でオススメするインストラクタの条件は以下の3つ。
- 教えることが好きで情熱を持ってレッスンをしていること
- ベーシックステップの重要性を言葉で説明できること
- サルサやメレンゲなどのアフロ=カリビアン音楽が好きでよく聴いていること
どれも当たり前の項目と感じる人もあるかもしれません。 しかし、ラテンクラブダンスにはいろんなスタイルがあり、 多様な考え方があって自由、 看板を挙げるのに資格も不要ですから、 インストラクタの価値観も能力もいろいろです。
これらの条件の中で断トツ一番重要なのはやはり教えることへの情熱。 音楽やダンスに対する気持ちがないインストラクタはやはりまったく駄目で、 カネ勘定や業界内でのポジションにばかり目が行っているようなところで学ぶのは 避けた方がいいでしょう。 熱意の有無はダンスの知見がなくても判断できます。 トータルな人間観察力を駆使して見抜いてください。
次に大事なのはベーシックステップへの態度。 基礎中の基礎ですが、 歩くダンスであるパートナダンスにとって、 立ち方・歩き方はダンスの土台を作りますからベーシックステップの質は ダンスの質の上限を設定します。
真っ当なインストラクタでベーシックの重要性を強調しない人はいません。 この点だけでもそれなりのレッスンをスクリーニングすることができます。 逆にいえばベーシックステップなんてどうでもいいからターンパタンをやりましょう、 というスクールもそれなりの数あるということです。
もちろん、基礎に対する考え方やアプローチは様々で、 どの段階で何をどこまでやるかというのは人それぞれです。 ベーシックステップにどういう方針で取り組むべきと考えているか、 質問してみるのもいい判断材料になると思います。
ベーシックステップがとりわけパートナダンスで重要なのはコネクションの基礎になるからです。 コネクションの有無や質を指摘できない人のところで始めてしまうと ソーシャルダンサとしての上達は見込めません。 ベーシックステップとパートナワークの関係を訊いてみるのもよい質問になるでしょう。
そしてもうひとつ、決してささいなことではないのが音楽への関心です。 単にダンスが好きでダンスを教えているというインストラクタは意外に多いもの。 というよりも多数派といっていいでしょう。 酷い場合は音源をただのメトロノームだと考えている人までいます。 最低限の音楽的コンセプトを理解せずにダンス用音源として消費するのは、 この音楽やダンスの文化を育んできた人びとに対する無理解であり、 敬意を欠いた態度です。
ダンスは音楽に合わせて踊るもの。 運動のエナジィは音楽が支えていますから、 音楽に対する理解、 音楽とダンスの関係についての知見や感覚を持っていないインストラクタに習うと、 ダンスというよりはリハビリ訓練かプロレスの練習生のようになってしまいます。
とはいえ、ラテン音楽は大衆音楽としては最も複雑な音楽のカテゴリのひとつ。 ですから、ダンスを教える人が必ずしも専門的に音楽を説明できる必要はないですが、 少なくとも音楽のフィールを感じられる程度には 当該ジャンルを聴き込んでいる人であって欲しいものでしょう。 例えばオススメの音源とその理由を訊いてみるのもいいと思います。 理由の説明の細部にインストラクタの個性と見識が表れるでしょう。
これらのポイントなどをチェックしてみて、 自分の気の合いそうな人のレッスンを受けてみましょう。 途中で違うなと思ったら別のインストラクタさんを試してみてください。 混淆文化を謳うラテンパートナダンスの世界では、 インストラクタのラインナップもまた玉石混淆です。
初めてインストラクタを探すのはとても難しいと思います。 ウェブで検索してもなかなかまともなところは出てきませんし、 サイトをメンテナンスできていないインストラクタの方が多い印象です。 専門の媒体もありません。 SNS の評判も参考にならないかもしれません。 まとめサイトやイヴェント情報から探そうと思っても 信頼できるソースとしてオススメできるものはありません。 なんとか協会の推薦とか誰々の公認インストラクタというのも 信頼できる水準のものは見かけません。 ネットの情報はほとんど役に立たないというのが正直なところでしょうか。 改めて 宣伝や SEO を頑張っているところが必ずしもよいスクールではないことに注意しましょう。 足と時間を使って納得できるインストラクタを探しましょう。
最初のインストラクタ選びはとても大事です。 それでも結局、どのインストラクタを選んだとしても上手くなるのは自分です。 自分が自分で考えながら練習しないと上手くなれないのがダンスというもの。 スクールのメソッドそのままで上手くなれる人は幸運ですが、 人の身体や身体感覚は個人差が大きく、 身体運動は言語化することも他者に感じてもらうことも難しいので、 他の人の課題を指摘することはできても、 どうやったらそれを修正できるかを指導できることはまれです。 その意味で優れたインストラクタは必ずダンスの審美眼を持っていますが、 それをどう直せばよいかを示せるとは限りません。 別の生徒には伝わる表現が自分にも伝わるとは限らないのです。 ダンスに限らず、 自分で考え、自分で練習することを忘れて身体技藝が上達することはありません。
ひとりで行っても大丈夫?
心配ありません。 ほとんどの人はレッスンやパーティにひとりで行きます。 もちろん、同性や異性の人と複数人で一緒に参加しても構いません。
お酒飲めないんですが
心配ありません。 飲めないのに無理矢理飲まされることはありません。 万一、無理強いする人がいたらキッパリ断わって下さい。
ラテンバーでもソフトドリンクやノンアルコールカクテルを頑張っているお店は多いですよ。
シャイなんですが
心配ありません。 サルサやメレンゲはラテンの突き抜けて陽気な音楽と思われているかもしれませんが、 必ずしもそういう曲ばかりではありません。 シャイな人も落ち着いた雰囲気が好きな人も沢山いますし、 それぞれのやり方で楽しめる空間です。
もちろん、ワイワイやりたい人もいますが、 いろんな人がいるというだけの話です。 付き合いにくい雰囲気に無理に合わせる必要はありません。 いろんなスタイルや考え方の人が自然に混ざるのがラテンクラブダンスの醍醐味です。
知らない異性の手を取って踊るのは恥ずかしいという人もいますが、 ほとんどの人は数回のレッスンですぐに慣れてしまいます。 自分の「当たり前」が意外と簡単に更新されていくのも面白いですよ。
どんな格好で行けばいいでしょうか?
どんな格好でも基本的には問題ありません。 スーツでも踊れますし、スウェットでも踊れます。 パンツルックでもスカートでも踊れます。
靴も普通に外を歩ける靴があればなんでも構いません。 極端な場合、ビーチサンダルやワラーチで踊る人までいます(オススメはしません)。 慣れてくるとフォローをする女性はヒールのサンダルを持ち歩く人が多いですが、 初心のうちは全く必要ありません。 足裏が滑る方がターンはしやすいですが、 シューズを調達する必要を感じるようになってからで充分間に合います。
それほどの強度の運動ではありませんが、 汗を掛くこともあるので洗濯できるウェアの方がいいと思います。
安全の観点から、腕輪や時計、石の大きな指環の類いは外しておきましょう。 相手を傷つける恐れがあります。 石が入っていない指環くらいならつけたままでも問題ありません。 イヤリングも大きいものはひっかかったりして少し危ないので 慣れるまでは避けた方がいいでしょう。
ラテン音楽がよく分からないのですが
心配ありません。 ダンスを始める以前に全くサルサやメレンゲの音楽に触れたことがない、 という人は沢山います。
大きい声ではいいにくいのですが、 現場で長く踊っている人の中にも音楽はよく分からないという人も少なくありません。
ただ、ラテン音楽こそラテンダンスのエナジィの源泉ですから、 ダンスが好きなら音楽も少しずつ聴いてみるといいでしょう。 特にアフロ=カリビアンのリズムを体得するのは時間が掛かるので 早めに音楽を聴く練習を始めるといいですよ。 音楽を楽しめるようになるとダンスと合わせてパーティを3倍楽しめるようになります。
どれくらいで踊れるようになりますか
真面目に答えると時と場合と人による、というしかありません。 とりあえず週1以上の頻度で3ヶ月くらいはレッスンをとってみてください。 半年続けられたら上達のスピード感が自分で分かってくると思います。
10年20年踊っている人にも最低限の基礎さえ身に付いていない人はいますし、 歴半年で充分パートナを笑顔にさせられるダンサもいます。 やはり人による、としかいえません。 そもそも、 ダンスが上手いということの意味 も人によって様々なので、 人と比較するのではなく自分のペースでやっていけばいいと思います。
何年もプラトーに入っていた歴20年のヴェテランダンサが、 ある日突然床を踏む感覚が体得できたと大喜びすることもありますし、 10年以上聴き続けたレコードから、 いままで全く耳にも入ってなかったパーカッションのグルーヴが聴こえるようになって 全身に電撃が走ることもあります。
ともあれ差し当たっては、 不自然に見えない程度に上半身と下半身の連動したベーシックステップをリラックスして踏めて、 コネクションでリード・アンド・フォローするという感覚が身に付いて、 1曲音を楽しみながら基本パタンの展開/フォローができる、 というところまで至るのがひとつのマイルストーンでしょうか。 おそらくこの頃には「どれくらいで踊れるようになりますか」 という質問自体があまり芯を喰っていない問いであったと気付くはずです。
そこから先については、どの方向にどこまで極めるかは自分次第です。 もちろん、サルサやメレンゲとの付き合い方は人それぞれですので、 ご自身の希望や制約に合わせて楽しんでいけばよいと思います。 チョモランマを目指してもいいですし、 ロープウェイを使った日帰り登山を楽しむこともできます。
まずは、自分も楽しく、相手にも楽しんでもらえるというところを目指しましょう。 そのためには、それなりの技術が必要なのも事実ですが、 上達のプロセス自体を楽しんでみてください。
いつソーシャルデビューできますか
まず、初心者向けのレッスンをやっているパーティなら未経験でも参加できます。 その際は必ずレッスンから出向きましょう。 常設のクラブのような場所であれば初心者さんだという理由で嫌がられることはまずありません。
フライヤに「初心者歓迎」と明示してあるようなパーティであれば 未経験の人がパーティに参加することもできます。 そうでない場合でも、 多くのパーティでは初心者の人をウェルカムしてくれると思いますので、 不安なときは主催者さんに前もって「初心者なんですが」と一言訊いてみてください。 無理に踊らずとも踊っている人を横目で眺めつつドリンクを傾けるだけでも楽しいと思いますよ。
ただ、初心者の人がフロアで踊るときには少しだけ注意が必要です。 パートナや他の人を不快にさせたり、怪我をさせてしまうかもしれないからです。 また、パートナダンスを伴うソーシャルパーティは、 それがソーシャル=社交と呼ばれるだけに暗黙のマナーが存在します。 マナーは文化や場所によって変化しますが、 ソーシャルデビューする前に少しだけ大まかなマナーを知っておくとよいと思います。
ソーシャルデビューに必要なマナーや心構えについては、 『デビューへの道』 をご覧ください。 とはいえ、過度に恐れる必要はありません。 まずは飛び込んでみて少しずつ自分なりの付き合い方を探してみてください。
入り方はいろいろ
それほど気負わずにまずは一度どこかのクラブレッスンを覗いてみてください。 音楽が掛かって踊れるというだけで、バーはバーですから、 軽くお酒を飲みに、あるいはお喋りをしに遊びに来てみてください。 必要性を感じたらスタジオレッスンや個人レッスンを検討してみましょう。

万一、 Merengue Panic 関連のイヴェントに来てみて、 ちょっと違うなと思ったからといって、 サルサやメレンゲを諦める必要はありません。 ラテンクラブダンスにはいろんな流儀があるので、 ご自分に合うところを探してみてください。 別のスタイルあるいは別のイヴェントに行けば面白く感じるかもしれません。 ダンスが苦手でも音楽からなら楽しめるかもしれません。 そういう人はサルサのライヴに行ってみるのもいいでしょう。 入り方も楽しみ方もいろいろあるのがサルサやメレンゲのいいところです。