Merengue Panic


レッスンの考え方

メレンゲパニックでは主宰イヴェントその他で不定期にレッスンを行っています。

クロス・コンボ・ラーニング

メレンゲパニックのレッスンがユニークなのは、 踊ることに加えて聴くことと知ることを重視している点。 踊れるようになるまででもなかなかハードなパートナダンスですが、 できればただ踊れるのみではなく、 音楽を楽しみ、ラテンの文化をリスペクトしてくれるダンサになって欲しいと願うからです。 そこで、レッスンでは《パートナダンス部門》《音楽部門》《座学部門》をトータルに扱います。

これらの3部門をバランスよく取り扱い、 豊富な音源やヴィデオとともに全体として《劇》になるような学びの可能性を模索するのが、 《クロス・コンボ・ラーニング》です。 身体を動かし、耳を鍛え、頭も使って楽しむエデュテイメントとしての オリジナルメソッドの総合ワークショップです。

old social dancing

パートナダンス部門

パートナダンス部門ではパートナワークに必要なファンダメンタルにフォーカスし、 中級以上のターンパタンやシャイン・ステップを覚えるための内容は扱いません。

パートナダンスのファンダメンタルとはベーシックステップとコネクションで、 これらは初心者の方から上級者まで折りにふれて立ち返って欲しい基礎中の基礎です。 立ち方/歩き方/体重移動/インタロック/フレームの組み方/ ハンドグリップ/コネクションの作り方/プレパレーション/パタンの繋ぎ方 など、初心・初級の要諦をメレンゲを通じてしっかり鍛えていきます。 これらのアイテムはメレンゲのみならずサルサやバチャータでも共通して必要な、 文字通りの土台となるテクニックです。 メレンゲ学ぶのではなく、メレンゲ学ぶというアイデアです。

ファンダメンタルが一定の水準に達することができれば、 自分なりに学びを伸ばしていくための足場が安定してきますので、 ターンパタンやスタイリングはどんどん身に付けられるようになります。 様々な内外の優れたダンサの踊りを見たり、 ワークショップを受けにいった場合でも、実り多く学べるようになるので、 自分なりのスタイルを作っていけるようになります。

とりわけ初心者の方は悪いクセがついてしまわないように デイワンから基礎の重要性を理解しておくことがとても大切です。 上半身と下半身がアベコベに動いていたり、 親指を使ったり、 キューバンモーションのつもりがお尻を振っているだけだったり、 部分体重移動のコンセプトが体感できていなかったり、 力づくでリードしたり、 カタチで先読みフォローしたりするのは典型的な悪いクセですが、 一度筋の悪いダンスを覚えて慣れてしまうとなかなか修正できなくなります。

まずは、綺麗に立てて気持ちよくベーシックが踏めて コネクションを用いて簡単なパタンのリード・アンド・フォローができる、 ここまでを目指します。 シラバス的には初心・初級の範囲ですがこれを一定の水準で実践できるのは、 もはや上級者という内容でもあります。 逆にいえばサルサの中級クラスをとっている人たちでも 何度でも再訪問すべきアイテムということです。

メレンゲパニックではこれらのファンダメンタルをトレーニングするため、 パタンとしては《ベーシックステップ》と《アンダ・アーム・ターン》、 それからペア間で近づいたり離れたりする単純な動き《開いて結んで》と、 クローズドポジションで一緒にゆっくり回る《メレンゲターン》の4種のみにフォーカスします。 これらの動きをしっかり身に付けた段階で、 初心・初級のエッセンスを合わせた登竜門的パタン《いっぽんどっこ》に挑戦します。 メレンゲのターンパタンとして扱うのはこの《いっぽんどっこ》が難度的には上限。 ここまで出来れば最低限のベーシックとコネクションは習得済としてよく、 初級クリアといえます。

ちなみにサルサでこれに相当する難度のパタンというと《グランデ》あたり、 やはりサルサは一朝一夕という訳にはいきません。 ただ、《いっぽんどっこ》が自由に気持ちよく実行できる基礎力があれば 《グランデ》の完成もあと一歩といっていいほどには《いっぽんどっこ》にも コネクションのエッセンスが詰まっています。

この段階までくれば リードは自力でも飛び込みのレッスンでもパタンを増やしていけますし、 フォローはスタイリングを増やしたりソーシャルで乱取りに挑戦しても 基礎が崩れることはないはずです。

音楽部門

音楽部門ではまずダンスに応用するためというよりも ラテン音楽を音楽として楽しむための基本的な技能を扱います。 音楽的に踊ることや演奏することのベースとなる「耳」を作っていくレッスンです。

ラテン音楽は大衆音楽ですが、 右足は伝統音楽、左足は藝術音楽に跨ってそびえ立つともいわれる とても複雑で巨大なジャンルです。 音楽家にとってでさえかなり難度が高く、 その理解はおろか、フィールを掴むにもなかなかの苦労を要します。 また、アフリカ、ヨーロッパ、アラブ、ネイティヴ・アメリカンなどの文化の交差点であり、 文化的にも政治的にも極めて複雑な混淆性の中で奇蹟的に誕生した音楽であり、 その総体は謎と秘密に包まれ、概説的な説明をすることもなかなか難しい領域です。 まして、一般ダンサにとっては音楽的な理解を深めても直接にはダンスの上達に反映しないので、 ほとんどその奥深さを味わうことを放棄してしまっているのが現状です。

しかし、サルサというダンスはサルサの音楽で踊るものであり、 メレンゲというダンスもメレンゲと呼ばれる音楽で踊るもの。 せっかくダンスに親しむなら同じ名前のジャンルミュージックも ぜひ楽しめるようになりたいものです。

ラテン音楽を定義すること自体、 極めて難しい問いですが、 ここではごく単純に2つの要素、 すなわちポリリズムを持つこととコール・アンド・レスポンスの構造を持つことに着目します。 これらはアフロ=アメリカン音楽全体の特徴でもありますが、 ラテン音楽ではポリリズムはクラーベとして、 コール・アンド・レスポンスはマンボとして理解することができます。

というわけでポリリズムの聴解能をトレーニングするのが最初のステップ。 レッスンではユニークな方法で 3x4=4x3 ポリリズムトレーニングを進めていきます。 加えて、リズムのトレーニングとしてはストレートのウラを感じる練習や、 ギャップドクリックによるパルス練習にも展開します。 クラーベを聴き取り、カスカラのリズム叩いたり、ピアノのバンプを感じてみたりもします。

また、マンボを実感するための稽古としてハナモゲラ的歌唱や、 ワワンコやコルンビアの掛け合いの妙技などを実例とともに観賞していきます。 また、重要な楽曲を取り上げ、その曲にまつわる様々なエピソードとともに より深く味わうために解題していきます。

そして、フィールを得るためには名曲を繰り返し聞き込むことがなにより大切。 リスニングの課題曲を用いてリクツではなく肚で音楽を感じる経験を一緒にしていきます。

座学部門

座学部門ではサルサのサブジャンルの分類や楽器編成などの基本的な知識の解説などに始まり、 カリブ世界の歴史、混淆文化と音楽の関わり、文学作品や政治運動と音楽との交差点、 特定のジャンルやミュージシャンを巡っての議論などを紹介していきます。 できるだけ資料や画像、映像などにあたりつつ、 ラテン音楽やダンスを断片的に感じられるように、 楽しく学べるカリキュラムを目指しています。

歴史や音楽のマジメな話もしますが、服装やメレンゲレシピの紹介などライトなトピック、 上達のためのコツや人物伝なども混じえて、 サルサやメレンゲに音楽やダンスを超えた興味・関心を持ってもらうことを意図しています。 音楽やダンスを補助線にすることで、 難解と思われがちなポストコロニアルな問題や最先端のカリブ海思想を かじってみることもできるかもしれません。

サルサやメレンゲは単に趣味や気晴らしのダンスとして消費するためのものではなく、 現代に生きるすべての人にとっての重要なヒントを引き出しうる教えの宝庫でもあります。


オープンレッスン

主宰イヴェントのオープンレッスンではどなたでも歓迎です。 全くの初心者さんはもちろん、基礎を見直したい中級以上のみなさんもウェルカムしています。 前提となる技術・経験や知識水準はありません。

個人レッスン

現在メレンゲパニックでは個人レッスンは受け付けていません。